2008年07月09日

双極性障害の治療(続き)

前回は薬物療法だけで終わってしまったので、今回は薬物療法以外の治療についてまとめます

休養

刺激の少ない環境のもとで静養させることが好ましいので、軽症の場合は自宅での療養をすすめます。
しかし、本人は軽躁状態のうえに病識(病気である自覚)がないので家では安静が保たれないことがあります。家庭内や外出先でさまざまな社会的逸脱行為を起こして家族や職場その他の関係者に迷惑をかけることも少なくありません。こうした場合には、あるいは治療に拒絶的(服薬せず、医師の指示にも従わない)であったり、逸脱行為のため本人の将来に不利を招くことが懸念されたりする場合には、保護と治療を目的に入院が必要となります。


光療法

日照時間に関連してうつ状態(躁状態)となる季節性気分障害(とくに冬季うつ病)が適応となります。通常の室内の光は200〜400ルクスですが、光治療室はベッドの上で5000ルクスという強い光を浴びることができます。通常は朝6時から2〜3時間の照射を数週間続けます。
また、「毎日朝日を30分浴びなさい」と療養指導される医師もいます。


認知行動療法

主にうつ状態の患者さんの認知の歪みに注目しながらその歪みを修正していく治療法です。「思考記録表」(五カラム法)などを用いて物事の受け止め方を変えていく治療法です。患者さん主体の治療となり、ある程度の根気と持続力が必要です。


修正型電気痙攣療法(m-ECT)

薬物療法でなかなかよくならない場合に施行が考えられる治療法です。
全身麻酔をかけ、こめかみから数秒間弱い電流を流します。1回の治療は30分程度でこれを週に2〜3回、数週間続けます。
ほとんどの場合、入院して行われますが、中には最初の数回だけ入院して行い、後は外来通院で行っている病院もあり、自立支援制度を利用している場合は月の限度額まで治療費を払えば残りは無料で治療してもらえる、ということになります。


疾患教育

再発を予防するため、服薬の継続の重要性とストレス管理についてよく理解してもらう。
また、家族へも疾患についてよく理解していただく。


参考文献

躁うつ病はここまでわかった
うつ病新時代―双極2型障害という病 (精神科医からのメッセージ)
こころの病気を知る事典 新版
心の病気と薬がよくわかる本




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posted by もも at 16:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月07日

双極2型障害の治療

双極U型障害の治療について


・うつ病相の治療

初診からいきなり抗うつ薬を使うと躁転する危険がありますので、いまではリーマス(炭酸リチウム)が第一選択薬となります。これで改善しなければSSRIなどの抗うつ薬を使います。
うつ病と双極性障害との治療面での大きな違いは、単極性うつ病(=うつ病)では第一選択薬は抗うつ薬となる一方、双極性うつ病では、抗うつ薬の効果が乏しいことや抗うつ薬服用によってうつ状態から躁状態に転じてしまう薬剤性躁転と呼ばれる状態が多く見られることから、リチウムが第一選択薬となる点です。
このように双極性うつ病の治療は単極性うつ病の治療と異なりますが、双極2型障害の軽躁病相は周囲に気付かれにくく、誤って単極性うつ病として治療されてしまうことがあるため注意が必要です。うつ状態で受診した時に軽躁病エピソードは見逃されることが多く、双極性うつ病の三分の一が単極性うつ病と誤診されているという指摘もあります。
国立精神・神経センター武蔵病院での治療の流れ
双極性うつ病→リチウムの追加または増量→無効の場合SSRIまたはSNRIの追加 あるいは症例に応じて以下のどれかを選択(非定型抗精神病薬の追加、ドパミンアゴニストの追加、バルプロ酸またはカルバマゼピンの追加、甲状腺ホルモンの追加、三環系抗うつ薬の追加(躁転リスク大)、ECT電気痙攣療法の併用)

・躁病相の治療

双極T型障害の躁状態は躁の程度が強く、社会的な逸脱行動をきたすことが多いため、入院治療が基本となりますが、双極U型障害の軽躁状態では外来で気分安定薬:リーマス(炭酸リチウム)、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)、テグレトール(カルバマゼピン)などが処方されます。

・躁、うつ混合状態(不快躁病)の治療

抗うつ薬の中止→リチウムまたはバルプロ酸使用→非定型抗精神病薬追加→リチウム・バルプロ酸・カルバマゼピンのうち2剤併用→非定型抗精神病薬の変更または定形抗精神病薬の使用→ECTまたはリチウム・バルプロ酸・カルバマゼピンの3剤併用
機嫌のいい躁病にはリチウム、不機嫌な躁病にはバルプロ酸が効くと従来よりいわれていますが、最近の多くの研究でも、躁うつ病の躁・うつ混合状態ではリチウムよりバルプロ酸のほうが治療反応率がよいことが示されています。

・ラピッドサイクラー(リピッドサイクラー)の治療

一年に4回以上の病相交代を繰り返すケースはラピッドサイクラー(急速交代型)と呼ばれ、薬物治療抵抗性であり、治療が難しいことが知られています。それまではラピッドサイクラーでなかった人でも、ある時から、時に誘因なく、時に抗うつ薬を引き金にしてラピッドサイクラーになることがあります。ラピッドサイクラーは双極性障害の5〜40%にみられます。
ラピッドサイクラー→抗うつ薬の中止→リチウムの十分な増量→バルプロ酸単剤またはリチウムとバルプロ酸併用→バルプロ酸とカルバマゼピン併用またはリチウムとカルバマゼピン併用→クロナゼパムの併用→非定型抗精神病薬の併用またはリチウム・バルプロ酸・カルバマゼピンの3剤併用または甲状腺ホルモンの併用またはECT


長くなってしまったので、薬以外の治療についてはまた別にまとめます。



参考文献


躁うつ病はここまでわかった
うつ病新時代―双極2型障害という病 (精神科医からのメッセージ)
こころの病気を知る事典 新版
心の病気と薬がよくわかる本

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